じいちゃん


じいちゃんが亡くなって、ばたばたしていたわけだけど、無事お通夜も告別式もすますことができた。斎場が混んでいて、亡くなってから一週間後だった。


いかにも怪しい電話がかかってきて、これはいわゆる葬式泥棒というやつではというかんじで、警察沙汰になったけど、みんな無事。


「最後まで警察のお世話になっちゃって」

なんて笑って言ってたけど、普通に生きてたら警察のお世話になることってあんまりなくないか。


たびたひ警察のお世話になっていたらしいじいちゃんだけど、私にとってはよいじいちゃんというか、結構すきだった。


私がアイスがすきなことを知っていて、いくたびにたくさんのアイスとともに出迎えてくれた。お刺身もさばいてくれた。おいしいチョコレートだぞって言って棚からたくさんチョコレートをくれた。って今思えば餌付けされてる。


ひといちばいこだわりが強くて、おしゃれで、しかもかっこよかった。


最近は会ってなかったし、それはきっと忘れられていたからで、でも元気に生きていると聞いていたからよかったんだ。急だったなあ。


もう私の名前を呼んでくれないと、ばあちゃんが言って、泣いてしまった。ずっとばあちゃんを呼んでいたじいちゃんだった。旅行中もずっと呼ぶものだから、同じツアーのひとがみんなばあちゃんの名前を覚えるくらいに。


さよなら、と思う。

さよなら、さよなら。


生きていないあなたも、生きている私たちも、すこやかに眠れますように。